講演依頼を受けてある企業へ行ったときのことだ。廊下の掲示板に「斬り捨てゴメン」の新聞切り抜きが貼ってあるのを見て「教育熱心な企業だな」と感心した。講演前にトイレをお借りしてまた驚いた。小便器の前にずらりと「斬り捨てゴメン」が貼ってある。A4版に拡大コピーされて過去掲載の五枚分くらいが並んでいるのだ。「こういう活用の仕方もあるのだ」と納得した。またあるアパレルの社長と懇談したとき「斬り捨てゴメンからヒントをもらって朝礼のときの訓話に使わせてもらっています」と言われてこれも面白い使い方だと思った。
考えてみると「斬り捨てゴメン」の連載は、もう十八年になるが今回で連載を終わる。こんなに長期連載が出来たのも本紙編集部の諸氏と読者の皆さんのお陰だと感謝している。
本紙繊研新聞の初期頃は繊維相場の動きを速報する専門紙であったが、紙面に小売店の販売段階の問題を取りあげることがほとんどなかった。それを補うべく二十六年前に「中小商店の売り上げ不振対策、売れる店づくり」というタイトルの一頁物を月に一回書きはじめ、それが六年間続いた。その後毎週土曜日の「斬り捨てゴメン」として再スタートし、これは十八年間続いたのである。
僕は終始販売の現場である売り場を視点にして問題を取りあげ、僕の実体験にもとずいた解決策を書き込んでいった。それでも毎週土曜日連載となると他の専門誌の執筆と合わせてかなりハードな仕事であり、初期の頃は大型の原稿用紙に書き続けると腕の筋肉が痛んでペンが持てないときもあったがいち早くワープロの導入、電子メールとファックスでの入稿に取り組んで、それが体力の消耗を少なくした。またイラストは僕の長男が描いて、これも電子メールで送稿することが早くから定着した。
ここ十年ほどは深刻な不景気に見舞われ、どこの小売店も大きな影響を受けてきてた。知人の店が何軒も店を閉めて廃業した。小売業は暗いトンネルに突入して、出口もよく見えない状態が続いている。
「商売が本当に好きな人でなければ早めに廃業した方がいい」とか「店のフアン客をどれくらい持っているかで店の力が決まる」などと厳しい意見を書いてきたが、そう言いたくなるくらい中小商店は苦しい経営をしているのだ。
またホームページを始め電子メールを上手に取り込んで販促計画が実行できる専門店でなければ、今のお客を取り込むことは出来ない。店のショーカードやPOPカードの制作もワードを使い、経理会計にはエクセルを使いこなさないといけない時代になった。そのあたりのことが十分に書き込めなかったことは心残りだが、ひとまず本日付けをもって長い連載を終わります。また他の企画面でお目に掛かることもあろうかと思います。長いご愛読に感謝!
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