景気不景気の波や立地環境の移動、流行の変化などで、どんな専門店といえども一生のうちで何回か大転進しなくてはいけないときがある。その転進のチャンスを見誤ると、商売は縮小の一途をたどり最後は倒産廃業に至るものだ。
私も親父の後を継いだ二代目であるが、二度の大転進を経験している。一度は親父の創業した洋品店を見切って「肌着のチェーン店」を展開、近在に五店の出店をしたが大型量販店が「暮らしの実用衣料」を展開して品揃えが難しくなった。最後は一店を残してすべての店を閉店するところまで落ち込んだ。そこで悩んだ末にトラッドなメンズショップに転進する決心をしてこの苦境を切り抜けた。
どのタイミングで現状の商売に見切りを付けるか、新しく取り組む商売はどんなものがいいかを判断することは大変難しい。だが駄目な商売に綿々としがみつき、立ち上がれない段階まで落ち込むと転進はできなくなる。
いくつかの判断基準を考えてみると
@店が狙っている顧客ターゲットの客層がいなくなり、その客層の売り上げが半分以下になったとき。
A近くにその客層を吸収する強い敵が現れ、それに対抗する手段が見出せないとき。
B経費の金額が粗利益額を上回り、どうしても赤字決算の解消が出来ないと判断したとき。
C現状の品揃え、売り方に個性が失われ、将来性が見込めないと判断したとき。
転進する新しい商売を見付けるにはどんな要素が必要か。
@オーナー経営者が個人的に好きな商品を扱うことが出来ること。
A他都市に行くとその商売で成功している店があり、何度もその店を視察して納得していること。
B新しい商売は将来大企業になれる要素は少ないが、同じ好き仲間のお客を集め育てることに生き甲斐を感じられること。
こうしたいくつかの条件が揃えば、思い切って大転進することを進言する。「新しい仕入れ先が見付からない」とか「どんな店を作ればいいのかアイデアが浮かばない」などの心配はあろうが、それはたいした問題ではない。恥も外聞も捨てて全力投球で体ごとぶち当たることだ。
どこにでもある商売であれば迷いも心配も少なかろうが、それを真似ても敵が多くて成功率は低い。あなたの街では誰も思いつかないような新しい商売であるほど、お客へのインパクトも強く注目されるのだ。
重ねて言うが、現状の商売のまま何十年も、たいした工夫もしないで続けられる商売は絶対にない。業績の落ち込みを不景気のせいにしないで、現状の商売の実体を見直してみることだ。売り上げ不振対策を個性のない「安売り店になる」や「チェーン組織への加盟」で安易に逃れようとしてはいけない。
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