店頭を歩くお客の年代と店が「売りたい」と思って品揃えしているお客の年代がズレている店が多い。店の経営者がそれを知らないわけではないだろうが、それに対する対策を立てようとする意欲はない。
「困ったものだ。店が狙った客層とは違ったお客ばかりが歩いている。これじゃ売れないのは当然だ」と認識はしても、どちらかと言うと「悪いのはお客であり、そういう客ばかりを集めている商店街のせいだ」と逆恨みしているケースが多い。
ショッピングセンターのテナント店の場合も「お客はミセスのおばさん客ばかりで、店がターゲットにしている若い女性客は歩いていない。なんとかしてくれないと売上不振で経営が成り立たない」と不平をぶちまけるが、私に言わせれば「そのターゲットのズレが分かったのなら、何故おばさん客に向けてターゲットの変更を考えないのか」と言いたい。
ちょうど魚釣りで、その漁場にいる魚とは違う仕掛けの竿を垂らしている漁師と同じで、魚は一匹も釣れないのは当然である。それを魚や漁場のせいにして恨み言ばかり言ってないで、漁師は仕掛けの方を替えるのが当たり前ではないのか。
それが簡単に出来ないのは、過去の経験と仕入れ先とのしがらみがあるからだと思う。長年にわたって顧客を研究して品揃えや仕入れ先を作ってきたのだから、今になって急に「ターゲットを替えろ」という意見には乗れないのであろう。
しかし顧客ターゲットのズレは強烈で、ここ何年にもわたって売上不振が続いている。このままでは経費分の粗利益も取れなくなって深刻な赤字経営になることは目に見えている。ここらで決断をしなければいけない。
新しいターゲトに変更しても、過去の経験は決して無駄になることはないと思う。ただ最初は創業時のような不安と苦労があるだろう。それを切り抜けるには徹底した市場調査が必要だと思う。つまり新しいターゲットで成功している店を見習うのだ。そのためのお手本になるような店を探す努力が必要なのだ。
見本になるような店を見付けたら、迷わずその店の小さなことまで真似をする。仕入れ先や品揃え、売り場づくり、陳列、売り方の技術を徹底して真似ていく。それがあるところまで達したら自然とあなたの店独自の工夫をしていくようになる。そこまで行ってこそ一人前なのだ。
ただその冒険を決断してその苦労に身を投じるには、経営トップの頭が硬化していないことが必要だ。実際の年齢ではなく、ある程度の思考力の若さが必要である。
顧客ターゲットの変更には、大変な危険度と体力が必要になってくる。それに耐えられる健康体でないといけない。もし健康に一抹の不安がある場合は、一刻も早く後継者に経営を任すことがいい。
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