ある大手チェーンのドラッグストアでは「ロイヤル・カウンセラー」という呼び名の販売員を接客のプロとして資格化している。条件の一つは「お客の名前と顔を五○人以上覚えていること」である。しかしこの資格を持つ店長は固定客の名前と顔を百人以上覚えており、売り場では一人ひとりに声を掛けることにしている。
「××さん今日は、何をさがしておられますか」と声を掛け、一緒にその商品をさがしてあげることも多いという。
このチェーンの本部では一昨年秋以降、店長や販売員を八○名ロイヤル・カウンセラーに任命しており、今年の秋までには全百六十店舗に配置する予定だと言う。
専門店の場合、固定客の名前や顔、買い上げ品などを覚えることは接客の基本であり、これが出来てこそ売り場に立てるのだと思う。だが販売員が自分から覚えようとしない限りお客を覚えられるものではない。
接客の中でお客の名前を聞き出すことはさほど難しいことではない。「ええと、お名前はどちらさまでしたか」と軽く質問してもいいし、カードでの決済ならカードを見ればすぐ分かる。だがせっかく覚えた名前でも、そのお客が帰ってしまうと簡単に忘れてしまうものだ。それを防ぐには、そのお客が売り場におられる間にお顔を見て、一度名前を呼んでおくのだ。
「中村さま、今日は大変ありがとうございました。また何かありましたらぜひおいでくださいませ」とでも言って顔をよく見ておけば、かなり鮮明に記憶に残る。
また名前と顔の特徴、お買上げ品を自分の手帳にメモしておくのもいい。高額品の買い物であればメーカー名や品番、サイズ、色型などを克明に記入しておけば次回の買い物のとき必ず役に立つものだ。
またヒマをみて手帳の記録を見てそのお客を思い出す訓練をしておくといい。店全体に販売員はお客を覚える体質のある店であれば、いつもの話題はお客の名前や顔の記憶であることが多い。「ねぇ、あそこを歩いている人は木村さんの奥さんによく似ていらっしゃるわねぇ」とか「先ほど買い物をされた田中さんは鈴木さんと感じがよく似ているから、よく間違うのよねぇ」などとお客の記憶にまつわる会話が大変多い。
また覚えていたお客が来店されたとき「先日お買いになったグレーのスカートはいかがですか」と声を掛けてみる。これが出来ると不思議なもので、商品とお客の名前が頭の中に深く記憶されるものだ。
昔からプロ販売員なら十年、二十年も前にお買上げになった商品でも何となく覚えているという。確実に「この品は誰に買っていただいた」と覚えているわけではないが「何となく二十年くらい前に売ったような気がする」程度の記憶ではあるが、覚えているものだ。
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