「もう義理チョコなんて格好悪いわよ」と宣言する若い女性が多くなったのが今年のバレンタイン商戦である。以前は二百円から三百円くらいのチョコレートを二十個、三十個と買い求める女性の集団が売り場に殺到した。上司や同僚の男性にチョコレートを配りまくるためである。
僕の店でも近くのバーやスタンドのママさんが常連客に手渡すためのプレゼントがかなりの数売れたものだ。お得意客の本命さんにプレゼントする数は毎年のことなのでほぼ把握していたが、ママさんが常連客に配る数は予測が難しく、毎年のように足りなくなって「品切れで申し訳ありません」と謝る始末だった。
ところが今年はそのママさんの義理チョコは皆無である。不景気でその経費も節約するしかないのだろう。それでも何人かは来られるかも、と思って増やしたチョコレートの数が裏目に出て、かなりのチョコレートを残してしまった。
大型店の催事売り場では例年のように国産品や輸入品のチョコレートを山のように積み上げて、今年も例年のようにスタートしていた。だが売り場は閑古鳥が鳴く始末で、やっと祭日と前日あたりになると若い女性がやってきたが、決定的なのは義理チョコを買う女性が極端に少ないのである。
それでも新聞折り込み広告を入れて「三割引きします」と訴えたら、二月十四日の当日になって中高校生の女性がぱらぱらとやってきて、売り場は賑わったが、OL風の女性の姿は見えなかった。
学生諸君には友達仲間に公平に義理チョコを配らないといけないのだろうが、一般的には「義理チョコは格好悪いから、もうやめた」と考える女性が多かったのだ。
僕の店でも多かったのは本命さんにプレゼントするものと、奥さんが主人にプレゼントする需要である。この場合は高級志向である。もちろん夫婦間のプレゼントが出来るのは公務員や学校の先生、お医者さんなどの不景気に影響されにくい職業のお客さんだけである。
しかしバレンタインの義理チョコを落としたとなれば、お返しのホワイトディも低調にならざるを得ない。この不景気なときに暗い話題である。
しかし奥さんがご主人にプレゼントする品は一万円前後の予算で、活発な購買意欲が見られる。それもご主人が欲しがっていた品が中心であるから、店側としてもご主人が「何を欲しがっておられたか」が分からないと、お買上げにはつながらない。
こうした「欲しがる品の情報」は日頃からお客が気楽に店へ立ち寄って話しをする習慣がないと得られない。またお得意客を「よく買い物するお客の集団」として把握していたのではダメである。ひとり一人の好みや欲しがる品の情報を把握する熱心さが必要である。そこまでやらないと売上につながるような情報は手にはいらない。
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