新しいタイプの大型書店ができたと聞いて行ってみた。何が新しいのか見極めてやろうというわけだ。その書店の売り場に入ったとき、その売り場の雰囲気が、従来の書店と違うことにまず驚いてしまった。
見渡す限り売り場ではお客が本を立ち読みしている。本棚の所々に椅子がおいてあり、その椅子に座って心地よさそうにお客が本を読んでいるのだ。
奥の売り場には「児童図書」の表示があり、中央に大きなテーブルが置かれ小さな椅子がたくさん並べられている。そのテーブルを囲むように本棚が並べられている。
そのテーブルは幼児と若いお母さんで満員で、なかには幼児に読み聞かせをしているお母さんもいる。もっとスゴイのは売り場の窓側は一面喫茶店になっており「売り場の本を持ち込んでお読みくださって結構です」という意味の表示がある。
書店のセミナーでは「お客の立ち読みには迷惑している。立ち読み客撃退のよい方法はありませんか」という質問を何度も受け、私は「立ち読み客が販売効率を悪くするのだ」と認識していた。
しつこい立ち読み客には、わざと目の前でうち払いを振り回しお客を追い出すとか、立ち読み出来ないように透明ビニールで本をくるんで「ビニールを破ってはいけません」という表示をするなど、速攻対処法を聞いていた。
しかしこの書店では立ち読みし易い設備を売り場にたくさん配置して、立ち読み客歓迎の姿勢を打ち出しているではないか。それどころか幼児に本の読み聞かせをしているお客までいるのだから驚く。
長い不況でどこの店も客数が激減している。買い物客が売り場に入って来ないのだから「打つ手がない」状態であろう。だがお客から言わせると「買う気持ちが決まらない以上、そのお店には入れない」のが本音だろう。
つまり商品をよく見て買うかどうかを検討したい。本なら開いて中身を読んでみないとわからない。似た商品と比べてみるためには何冊かの本を立ち読みするしかないのである。ところが書店は「立ち読みお断り」の強い姿勢で接客している。
他の業界の店では「どうぞ遠慮なく試着したり試食したりしてください。買い物が決まらなくてもどうかお店にお入りください」と思っているのだが実際のお店に入ると店内は買い物を強要する設備ばかりで、とてもゆっくり検討したり比較したり出来る雰囲気ではない。ようするに販売員の思いとは別に、売り場の配置、設備、仕掛けはすべて売り付け専用に作られている。
ここのところで不況期のお客の気持ちを逆なでするような売り場を作っている店の姿勢を改める必要があるのではないか。専門店なら売り場に入ったとき、まず中央に大きなテーブル、そのそばにはソファーが見え、ちょっとした軽い飲み物が飲めるような雰囲気が必要になっているのだ。
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