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エステティックサロン

 甚だ宣伝めいているのだけれども、それでも言い伝えたいことがある。誰にも訊かれてはいないのに、つい話しにしてしまうネタ。自分で体験してみて感動を得たことが、えてしてそういうネタになるようだ。まあ、お節介なことには違いないが、もしかしたら役に立つことがあるかも知れない。
 エステティックサロン。
 古今東西、ご婦人方の美に対する貪欲なまでの努力を、我ら男は傍らで見ながら、『まったくご苦労なことだ』などと心の中で思うもので(決して面と向かって口にしてはならないらしい。あらぬ災いを招く恐れアリ)、現代においても夥しい種類の化粧品が魔法の呪文のように謳われては販売されている。
 エステとは、美の頂点を極める一番の近道のようなものにちがいない。少なくとも、男にはあまり縁の無い話題である。
 しかれども男とて、血気盛んな若人ならいざ知らず、30歳をゆうに通り過ぎてから己の肌を見直してみると、世辞にも美しいとは言えない状態になっている。苦労が絶えないとか、体質だとか、いろんな言い訳をしてみても、やっぱりお肌は荒れている。女ほど艶々になりたいとは思わないけれど、身だしなみを思うと捨ておけない状況であることに気付かされる。
エステ  メンズエステという言葉が聞かれるようになって、ドラッグストアには男性向けの化粧品、いやケア用品が並び、シャンプーを買うついでに一緒に購入してみたりする覚えは無いだろうか。もはや毛生え薬だけが男のアイテムではない。男性とて、お気に入りの洋服を着こなし、社会で多くの人と接するならば、ちょっとぐらい女を見習って気遣う必要がある。
 しかるして、いつも散髪をしてもらっている床屋さん「ヤング理容院」でメンズエステを始めたと聞き、勇気をふりしぼって(いや、なぜか勇気がいるのだ)フェイスエステというやつを施してもらった。
 なんだか良い香りのする蒸気を顔に浴び、ヌルヌルとした液体で顔面を──なんと言うか筆舌に難い感覚で撫で回される。意識が朦朧としてきたころには、すっかり爆睡してしまっているのである。いったい何をされたか判らないのだが、終わった後、自分の顔が確実にきれいになったことを自覚する。すべすべというか、とにかく素晴らしく気持ちが良いものだ。
 曰く、手入れなどした経験も無い荒れ肌の男性こそ、このエステは効果がある、という。
 エステなんてしなくても暮らしてはゆける。が、秋の陽射しの中ですっきり笑顔で暮らしてみるのも悪くない。『エステをしちゃったもんね』というスノビズムは、たぶん歩く姿勢まで変えさせてしまうだろう。
 まあ、お節介なことには違いないが、今秋はヒッジョーにご機嫌なのである。わっはっは。




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