北風が吹きすさぶ山間の道からは、すっかり眠りに就いた山の表情を感じることができる。紅葉も久しく、木々の葉は黒ずんで枝にしがみつき、風にあおられては飛んでゆくのである。
そんな山道をMGBで駆け抜けるには些かの根性と防寒具が欠かせない。屋根は無いので寒風に上半身をさらすわけで、皮膚の薄い耳といったら殊更に寒い。しかし、凍てつく大気の中を疾走するのは、日本の四季を全身で感ずることの出来る貴重なひとときでもある。少なくとも真夏の馬鹿々々しい暑さの中を走るよりは格段に愉しい。
30代の半ばを過ぎ、いよいよいい年ではあるけれど、未だ止められぬクルマ道楽なのである。
ところが、愉快なはずのこの冬。
クルマには「ランオン」と呼ぶ故障がある。
走り終えた後、イグニションキーを抜いてもエンジンが止まらない、MGBの見苦しい事態だ。原因は点火時期不良や、燃焼室のカーボン焼け、あるいは冷却不良などが考えられるのであるが、とにかく気持ちが悪いので治してやらねばならん。かくして部品を入手し、夏を乗り越えた。
間もなくクリスマスハウスの仕度が始まると、今年はどうしたことかベラボウに忙しい。秋には検査が満了するから、それまでに修理をする予定でいたのだけれど...。
道楽と言うからには、楽しくなくては甲斐が無い。切羽詰まって無理なスケジュールで修理にあたっても、我らアマチュアにはロクな結果が得られない。然るべき時間と精神的な余裕があればこそ道楽は益になるのであろう。よし解った、それなら暫時の休みを取ろう。いや、私ではない。MGBに休暇を与えようというのである。
かくして、敢え無くタイムリミット。MGBは検切れと相成り、目下はガレージで眠り続けている。
思うにMGBは、どうやら3年毎に休眠するようだ。主(あるじ)の生活サイクルに影響を受けることは少なくないが、それにしても3年毎に甚だしく壊れる。
最初はリアアクスルの空転。3年後に排気バルブ破損。その3年後には走行中の火災。そして今回のランオン。
3年という周期は、物事に飽きる直前のタイミングで、まことに上手い按配に修理を要求してきやがるのである。おかげで手放すこともなく、のめり込むこともなく、適当に愉しみ適度に壊れ(^^;、同居を続けているような次第(尤も因子の半分は主にあるのだが)。
さて、気分が乗ってきたら、いずれガレージの扉を開けてやろう。
不動のオブジェと化したMGBはひと月に一度だけエンジンを廻しているのであるが、寒くなってからというもの肝心のランオンが起きない。勝手に治る道理も無いので、どうやら原因は冷却不良にあったようだ。このぶんならシリンダーヘッドを分解する必要もなく、比較的簡単な作業で蘇生させられる。安堵。
桜が咲くころには、何としても雄叫びよ再び!
(必要な部品は内緒で買っちゃったもんね...ケケケ。)
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